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大学の個別対策よりも各教科の基礎の徹底を優先する

当塾では過去問演習は行っていますが、いわゆる「大学の個別対策」は行っていません。
この個別対策とは「学校別の出題傾向に合わせて勉強を行う」ことです。

自分の志望校に合わせて勉強するというと、効率よく勉強を進めることができるように聞こえるかもしれません。
ところが実際には個別対策を行うことで合格率が高まったという例はなく、かえって個別対策が足を引っ張った結果になることがほとんどです。

個別対策をしたい、という相談を受けることもありますが、
「そんなことしている時間があったら問題集や参考書を使用して基礎の復習を徹底した方がよい」とアドバイスしています。

もちろん他の予備校などでは大学ごとの個別対策を売りにしている医学部専門塾もあります。
それでも「個別対策は意味がない」と私たちが考える理由をお伝えしたいと思います。

個別対策=ヤマをはること

受験する大学の過去問演習を自分で行い、難易度や試験の傾向を把握しておくことは大切なことです。

しかし、個別の対策や過去問の傾向を研究しすぎると、大体の生徒が自らの策に溺れる結果に繋がります。
個別で対策をしすぎると先入観が固まってしまい、変化に対応ができなくなるからです。

確かに記述問題の有無や、英作文が必ず出題される…などの学校ごとの傾向はありますが、あくまでそれは前年度までの情報であり、本番で傾向が変わることはよくあります。

科目ごとに難易度が変わる医学部もあれば、出題傾向が変わる医学部もあります。

実際に大きく出題傾向が変わった大学例

例えば2017年の日本医科大学の試験問題では、数学・英語ともに大きく出題傾向が変わりました。

数学については、例年大問が3つという構成だったのに対して、5つに増えています。大問が3つだという前提で練習をしてしまっていると面食らった受験生も多かったはずです。

また英語については、大問の1つとして自由英作文が出題されました。
前年度まで、通常の和文英作文は例年出題されていましたが、自由英作文の出題はありませんでした。

もし「自由英作文は今年もでないだろう」とタカをくくって対策を怠っていたとしたら、相当なパニックになったことは容易に想像がつきます。

 

また2018年の東京医科大学の試験問題では、数学の難易度が急激に上がりました。
それまで東京医科大学の数学はそこまで難易度が高くなく、私立医学部の中でも易しい問題傾向でした。

合格者の数学の平均点数は恐らく70点代から40点前後まで大きく下がったことが予想されます。

ここまで急激に変化したのは、問題作成を担当する教授が変わったという単純な理由です。

上記の通り、大学側の事情がほんの少し変わるだけで、試験内容や結果に大きく変化が起きる可能性があることは十分ご理解いただけると思います。

傾向分析はあくまでもただの予想であり、それを元に勉強したり練習をしていると、本番で傾向が変わっただけでパニックに陥る可能性があります。

また、出題範囲等も当然年度によって変わってくるので、「ヤマをはる」勉強は推奨できるものではありません。

 

複数校の個別対策をすることは「普通に勉強する」のと変わらない

私立の医学部は複数受験が可能なため、最低でも3校、多くの受験生は5校以上を併願します。

全く傾向が違う大学の個別対策5校分を徹底的に行う…と考えると、ほとんどの出題形式や出題範囲をカバーしていることになります。
個別対策は一見効率的に見えますが、受験に向けてやるべき勉強の量が減るわけではありません。

 

全教科の全範囲の基礎を徹底することが最も近道になる

医学部合格のためには、全教科の全範囲の基礎を徹底することが非常に重要になります。

全教科完璧だ、暇だな、さて何をしよう…というくらいになったら個別対策をしてもいいかもしれませんが、前述の通り「個別対策をする=ヤマをはる」行為です。
もし本当に「全範囲を完璧に習得」できていたとしたら、もうすでに個別対策をする必要はないと思います。

また人間である限り100%の力を出し切ることを100%保証できる状態というのはほぼ不可能に等しいです。
どんなに勉強もしっかりやって、体調も万全、当日予定より2時間早く家を出たとしても、試験が終わるまで何が起こるかわかりません。

もし試験当日万全の体制で臨めなかった場合、頼りになるのは今までやってきたことがどれだけ定着しているかということ。
そしてその定着は「反復」「繰り返し」でしか生まれません。
当たり前のことですが、始めて挑戦することよりも5回目、5回目よりも10回目にやることの方が簡単にできるものです。

そう考えると受験勉強にゴールはなく、やはり個別対策をする前に基礎をどれだけ確実に習得できるか、ということに時間を割いた方が断然有利に働くことがわかります。

過去問のやりすぎは慢心を招く

また上記と同じ理由から「過去問をやりこみすぎるのもあまりよくない」と生徒たちには伝えています。

過去問をやりすぎると自然と自分の中で解き方の型ができてしまいます。
自分がそのつもりではなくても予め「こういう問題がくるだろう」「ここは大問3つだからこういう時間配分で行こう」と、実際の問題を見る前に無意識に予想をしてしまうということです。

そのため自分が練習していた問題と出題傾向が大きく変わった場合、「ヤマが外れた」場合と同じようにパニックになってしまい、そのまま実力を発揮できず終わるパターンは非常に多く見られます。

また自分の中で解き方の型ができることにはもう一つ弊害があります。
それは「理解をしていないのに問題慣れしていることで何となく解けてしまう」ということです。

数学などは特に、単元ごとに「似た問題」が存在します。
割合はこういう出題が多い、図形はこういう出題が多い…というのは身に覚えがある人もいるかもしれません。
そういった「似た問題」ばかり対策していると、理解しなくても問題自体は解けてしまうため、自分がきちんとその単元を理解していないということに気づかずに、習得できないまま通り過ぎてしまうことがあります。

そのため少しひねった問題や違う切り口から同じ単元を出題された場合に躓いてしまうのです。
いつもは簡単に解ける図形の問題が、今日は解けない…その状況にパニックになり、余計解けなくなる…という負のスパイラルにはまります。

模試では点数が取れるのに本番では全然だめたったという受験生は、こうした”模試慣れ”により、模試ではたまたま高得点を取れていたケースが多いように感じます。

過去問のやりすぎを防ぐことで先入観や固定概念がなくなります。
自分の持っている力で解く、という練習を普段から行っているので、結果的に判断力が鍛えられ、本番問題傾向が変わっても臨機応変に対応することができます。
そういった「本番、どのような問題形式で出題されても対応できる」という考え方を当塾では大事にしています。

個別対策より自己分析

個別対策、過去問の傾向分析をじっくりやるくらいなら、自己分析に時間をかけた方が有益であると考えます。
実際当塾では自己分析に時間をかけています。

偏差値は全体の受験生の中で自分がどの位置にいるのか、その目安となる座標のようなもので、模試はその自分の位置や自分の状態を確認できる定期健診のようなものです。

自分は今どの位置にいるのか、どこが足りないのかを把握し、それに対する対策を打っていかないと模試や過去問に取り組む意味は半減します。
理解が足りていないのか、暗記ができていないのか、単純なミスが多いのか…それは人や時期によって変わります。
それらを知ることでその後の勉強の仕方も変わってくるはずです。

ヤマをはることに意味がありませんが、自分の苦手なところを補うことは大いに意味があります。
自己分析を行うことの隠れた効果についてで詳しく書いていますので、ぜひ読んでみてください。

医学部受験における個別対策について・まとめ

医学部受験の中では最低限の範囲を網羅するだけでも膨大な時間と労力が必要です。
またひっかけ問題や難解な応用問題ばかりがでるわけではなく、逆にこれさえやれば、という近道があるわけでもありません。

だからこそ個別対策などの受験勉強の本筋から外れたことに時間を割くのではなく、基礎的な内容をしっかり習得するという正攻法が医学部合格への一番の近道です。

 

医学部合格体験記

(卒業生講師)中学3年生の終わりから3年間受講し、慈恵医大に正規合格
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(卒業生講師)中学3年生の終わりから3年間受講し、日本医科(特待)&信州大医学部に現役合格
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