聖マリアンナ医科大学は下記の通り詳細データを公開しています。
このデータから入試における女性差別を行っている可能性があると言わざるを得ない分析結果が得られます。
詳しくご説明します。
2年間の2浪以上の女性の入学者が0人
非常に衝撃的なデータですが、上の「現浪別構成比」をみると、ここ2年間とも2浪以上(再受験生も含めて)の女性の入学者が0人となっています。
一方、同じ2浪以上(再受験生含む)の男性の入学者数は 平成30年度:37人、平成29年度:47人 であり、2年間で合計84人の入学者となります。
2浪以上(再受験生含む)の出願者数は
平成30年度 男性 1171人 女性 648人
平成29年度 男性 1274人 女性 647人
となっています。
合計すると2浪以上および再受験生は、2年間で 男性2445人、女性1295人が出願し、男性は84人が入学、女性の入学者は0人となります。
確かに受験者数は男性が女性の1.9倍いますが、それでも入学者数にこれほどの差がつくことは自然とは捉えづらいといえます。
そもそも2浪以上の女性は2年間で1295人が出願し、入学者数が0人です。
結果として、
2浪以上および再受験生の女性の受験生は聖マリアンナ医科大学は受験しても無駄であった
と結論づけざるを得ません。
男女別の合格率の比較
平成30年度の男女別の受験者数→合格者数と合格率です。
男性 1748→100人(5.7%)
女性 1347→30人(2.2%)
合格率では約2.6倍の差となっています。
聖マリアンナ医科大学の不透明な回答
上記のようなデータを受けて、下記記事が報道されました。
聖マリアンナ医大、昨年から2浪以上の女子入学者がゼロに…大学側「意図はありません」
http://biz-journal.jp/2018/08/post_24318.html
上記より聖マリアンナ医科大学の回答にあたる文面を引用します。
「私どもは成績順で取っております。一般入試は一次が英語、数学、理科2科目の400点満点、二次は小論文100点と面接100点を最終的にトータルして合否結果を出しています。2017年度と2018年度はたまたま現役と1浪の方が合格しただけ。意図はありません。当大学は在学生に占める男女の割合も6対4で女子の比率が高いのが特徴。データを見ると現役生と1浪が多く見えますが、これは昨年から推薦入試の制度を変えたためです。
今までは指定校推薦だけで20人の募集枠でしたが、昨年から一般公募制の推薦入学試験も導入して10人増員した関係で、推薦だけで30人の募集枠になったのです。昨年は推薦の合格者が5名増えて35名になったため、結果的に現役生が増えてしまったように見えますが、推薦制度を変えたことによるもので、一般入試で現役と1浪を優遇しているわけではありません。
二次試験の面接でも女子に結婚、出産について聞くことはありません。うちは聖マリアンナという名前からも女子大と思われるような大学ですし、もともと女性が比較的多い大学だと思っております。学生に女性が多く、そのまま女性が大学に残ってくれるので、ほかの大学より女性教員の数も多い。それに、申し込めば一次試験の不合格者に対して成績の開示もするので、受験の透明性も確保できていると思っております」
上記は一見するとしっかりとした回答をしているように見えます。
しかし、データを分析すると実にうまい逃げ方をした回答だといえます。
詳しくご説明します。
一次試験の合格率に男女による差は認めない
一次試験の男女別の合格率を掲載します。
男性 1748→313人(17.9%)
女性 1347→204人(15.1%)
上記の通り、やや男性が高いものの、一次試験の合格率にそれほど大きな差はないといえます。
聖マリアンナ医科大学が、一次試験の不合格者に対して成績の開示もすると自信を見せているのもうなずけます。
ところが、次に大きな裏がみえてきます。
二次試験(面接、小論文)の男女別の合格率に約2.3倍もの差がある
次に、二次試験(面接と小論文)の男女別の合格率を掲載します。
男性 252→100人(39.7%)
女性 171→30人(17.5%)
*一次試験の合格者数から二次試験の受験者数に差があるのは、二次試験の受験を辞退する受験生がいるため。
上記の通り、二次試験の合格率は男女間の差が著しく、約2.3倍もの差があります。
聖マリアンナ医科大学の回答にもあるとおり、一次試験は英数理の学科試験で400点満点、二次試験は小論文と面接で200点満点、合計600点満点の試験です。
学科試験である一次試験では男女間の合格率の差はそれほど認めなかったということは男女間の学力の差は大きくなかったといえます。
それにも関わらず、意図的な得点調整を行いやすい面接と小論文で男女間に2.3倍も合格率に差があるのはあまりにも不自然といえるのではないでしょうか。
さらに、聖マリアンナ医科大学は二次試験に600点満点中200点と非常に高い配点となっています。
二次試験の得点調整が行いやすい配点の試験形式だといえます。
二次試験の採点基準と男女別の得点表の開示を求める必要がある
聖マリアンナ医科大学の回答にあるとおり、成績開示ができるのは一次試験の点数のみです。
しかし、上記の通り二次試験で得点調整が行われていると予想されるため、二次試験の採点基準と男女別や年齢を含めた得点表の開示を求める必要があります。
上記すべてのデータをふまえると、二次試験で2浪以上の女性への何らかの得点調整が行われていることが予測されます。
もし二次試験での得点調整を行った形跡が認められれば、「一次試験の不合格者に対して成績の開示もするので、受験の透明性も確保できていると思っております」と回答したことは非常に悪質であるといえると思います。
当塾の生徒の被害について
もし得点調整が行われたのであれば、ですが、当塾の昨年度の生徒も3人の女性の受験生が被害を受けたことになります。
2名は2浪の女性で、一次試験は合格したものの二次試験で非常に順位の低い補欠番号がついてしまい、最終的に不合格となりました。
面接や小論文で特に失敗をした印象がなかったため、不安を感じ相談を受けていました。
結果的に両名とも他の医学部に進学できたものの、当時の補欠順位をみて不安になったことは事実としてあります。
さらに、1名は再受験の女性で、彼女は受験校も少なく聖マリアンナ医科大学のみ一次試験に合格していました。同様に二次試験で非常に低い補欠番号となり、最終的に不合格となり医学生になることができませんでした。
彼女は一次試験の合格が一校のみであったため、面接や小論文の対策も十分行っていました。
もちろん3名とも正当な二次試験の評価の上でこのような結果となった可能性は十分にあります。
しかし、上記のようなデータをふまえると、やはり二次試験の採点基準や受験生の得点データの一覧を強く要求したく思っております。
また、明確なデータの公表が得られない限り、2浪以上および再受験生の女性は聖マリアンナ医科大学は受験しない方がよいと結論づけざるを得ないといえます。
合計の入学者数の男女差だけでは見えてこないデータもある
聖マリアンナ医科大学はすべての試験をあわせた合計の入学者数では女性は115名中45名であり39.1%になり、それほど女性比率が低いようには一見みえません。
しかし上記のとおり、学年別でみると2浪以上や再受験生の女性の入学者数は0人であり、不当に不合格となっていることが予想されます。
重要なのは表向きの女性比率ではなく、女性だからという理由だけで不当に得点調整や不合格の措置がとられていないかだといえますから、他の医学部においても学年別の男女比率までしっかり公開することが求められると思われます。
聖マリアンナ医科大学公式ホームページの入試結果
https://www.marianna-u.ac.jp/univ/ent_info/ent_data.html