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「女子受験者一律減点は当たり前」発言を許してはいけない理由

(私は医師免許をもっていて初期臨床研修を修了しています。そのため多少ですが医療現場にいたこともあります。このような記事を書くと、医師の大先輩の方々から猛攻撃を受けると思うので理論武装をしますよ。)

 

某女性医師がテレビで下記のような発言をされたとのニュースがありました。

女性医師の割合が増えたら「世の中、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう」と医療の現場を知る者として指摘。

「重たい人の股関節脱臼を背負えるかって言ったら、女性は無理なんです」と具体例を挙げて説明

「(女性は)外科医は少ないです。外科になってくれる男手が必要なんです。おなかが大きくては手術はできないんです。だからやっぱり、女性と男性の比率はちゃんと考えてないといけないんです。男性ができることと、女性ができることって違う」

西川史子、東京医科大の女子受験者一律減点に言及 「当たり前」 - ライブドアニュース
東京医科大の入学試験で女子受験生の得点を一律減点していたとされる問題。医師の西川史子が5日の「サンデー・ジャポン」で、「当たり前です」と発言。できることが違うため、男女の比率は「考えていないといけない」と主張した

 

一見すると「さすが現場の意見だ」「やっぱり医師の世界では女性は男性より必要とされないのか・・」と捉えてしまう人もいるかもしれません。

しかしこれは
論理的に破綻している
他の業界でも女性差別が横行する危険がある
主にこの2点において決して許されない発言だと考えています。

さらに、この発言に賛同するような声もあがっているようで、とても危険な状態だと思っています。

以下詳しく説明します。

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など

論理的に破綻している理由

今回の某女性医師の主張を整理すると、
「医師の仕事の中には女性にはできないものがある」ことの例をいくつかあげることで、
「医学部受験において女性の人数が調整されても仕方ない」
と主張していることになります。

そして、この点について賛同している人がいます。
また、反対する人も「それはわかったけれど、だからといって公表せずに隠れて得点調整はいけないことだ」としているものが多い印象です。

反対している人も、女性の人数が調整されることは認めているような印象を受けますが、言語道断です。

 

ちょっと考えればすぐわかることなのでご説明します。

 

「医師の仕事の中には女性にはできないものがある」ことの例をいくつあげたところで、

「すべての医師が女性ではいけない」ことの理由になっているだけであって、

「女性医師の人数は少ない方がよい」ことの理由には全くなっていない
のです。

 

例えば下記のような反論ができます。

「医師の仕事の中で、性別的に男性ができない仕事、あるいは男性より女性に適している仕事はないの?」

この質問を検討することなく、
女性ができない仕事をいくつか挙げただけで「女性医師の人数は少ない方がよい」と主張するのは暴論だといえます。

例えば産婦人科領域など、女性医師が適しているような仕事も少なからずあるはずです。

 

 

さらに、そもそも
「性別的に女性には医師の特定の仕事ができないという根拠はあるの?」
という質問も挙げられます。
某女性医師があげていた整形外科における仕事についても、女性医師が行える可能性は十分ありますし、少なくとも解決策はあるはずです。
そのような根拠も示されていないわけです。

 

また、一旦女性にはできない医師の仕事があることを認めたとしても、次にこの質問が重要になってきます。
「性別的に女性にできない仕事があるとして、医師の仕事の何%を占めるの?」

私自身も医師として医療現場にいたことがあるのですが、恐らくすべての科のすべての医師の仕事の中での割合は、数%もないはずです。

特定の科の特定の領域における極少ない例をあげるだけで、さも医師すべての仕事にあてはまるような主張は当然認められません。

 

あとぶっちゃけてしまいますと、
女性のプロレスラーの方はどうなるんでしょうか?

たぶん、とてつもなく重たいものを持ち上げている男性医師ごと、持ち上げられるんじゃないでしょうか?
(これは冗談ですよ。)

 

さらにさらに、
「世界では女医が40%以上を占める国が多いがそのような国では整形外科や外科は成り立っていないの?」

下記の表をみてください。
日本の女性医師の割合は世界的にも最低ランクであり、女性医師が40%以上の国は多いようです。

某女性医師の発言を認めるのであれば、

女性医師の割合が57%もあるフィンランドの医療は崩壊しているのでしょうか?

引用元:https://www.joystyle.net/articles/364

 

これはよくある錯覚ではあるのですが、
「新幹線で悲惨な事件が起こったから、新幹線は即刻廃止すべきだ」という主張と似ていますね。
「新幹線は絶対的に安全ではない」ことは正しいですが、「新幹線がほかの移動手段よりも危険」であることは言えていません(実際に間違ってます。)

 

同様に、

「医師の仕事の中には女性医師ができない仕事がある」例は、
「すべての医師が女性医師ではいけない」ことの理由にすぎず、
「女性医師が男性医師より劣っているor少ない必要がある」理由にはなっていないのです。

外科領域の女性医師が少ないのは当たり前

外科領域の女性医師が少ないのは事実ですが、言ってしまえば当たり前です。

女性医師にとって環境が整っていないところに女性医師が少ないのは当たり前です。

 

下手な例で恐縮ですが、

旅館ができました。
女性トイレと女性用の温泉しかありません。
ひげをそられると旅館が汚れるので禁止です。

このような旅館があるとしたら、男性のお客さんが少ないのは当たり前じゃないでしょうか?

そもそも妊娠や育児による休職ってそんなに長いの?

そもそも妊娠や育児による休職ってそんなに長いでしょうか?
2年休職したとしても2年です。

医師は定年がないので70歳かそれ以上まで働けます。
女性の方が平均寿命は6年程度長いです。

妊娠や育児による休職ってそんなに長いでしょうか?

眼科や皮膚科医を目指している女性の受験生は少ない

うちの塾の受験生は、いま半数が女性です。

眼科医や皮膚科医を目指して勉強している女性はむしろ少数で、内科や救急、産婦人科や小児科を目指して勉強している女性が多いです。もちろん外科を目指している女性もいます。

医学生になってから職場環境や先輩の女性医師の話などを聞いて、やむを得ずキャリア変更をしているのが実際のところです。

それに、
すぐに離職する前提であれば、浪人してまで厳しい勉強に耐えられるはずがありません。

女性の受験生のほとんどが、長く医師として働いて社会や患者さんのためになりたいと思って勉強しています。

当たり前じゃないですか。

この発言を問題視する理由

論理が破綻しているのはまあどうでもいいんですが、看過できない理由があります。

この発言をみて、
・いま整形外科や外科医として現場にいる女医さんはどう思うのか
・整形外科や外科医を目指す女性の研修医や医学生はどう思うのか

上記はさすがに、簡単にこの発言が間違っていることは判断できると思うので一旦いいとして、

 

・将来整形外科や外科医を目指そうと思っている女性の小学生や中学生はどう思うのか

中学生も過半数が判断できると思うので一旦いいとして、

まだ論理的思考の発達過程にある小学生にとって、
「環境等ではなく”性別的”に女性は整形外科医や外科医ができない」
と捉えかねない発言をテレビでしてしまった

ここが大問題ですね。

でも最近の小学生は優秀な人が多いので、半分くらいは判断できそうだと思ってます。

 

他の業界でも女性差別が横行する危険がある発言

さらに、
同じような論理的思考のない主張によって、他の業界でも女性差別が横行する危険があること

これが決定的に問題です。

今回の主張は、
男性にしかできない仕事を数個見つけただけで、「女性は減らすべきだ」
と主張しているわけです。

こんな主張が認められると大変なことです。

 

他の業界や会社においても、女性にはできない仕事をたった数個見つけただけで、女性は減らすべきだ
という主張を許すことになります。

論理的にも破綻していますし、あまりにも危険な主張だと思われますがいかがでしょうか?

 

 

ところで(これは”ところで”、であって ”だから”ではないですよ。)
某女性医師のご出身の医学部である聖マリアンナ医科大学でも入試における女性差別の可能性が極めて高いと考えています。

今年の入試において、
2浪以上の女性の受験生が600人以上いるにも関わらず入学者数が0人となっています。
同じ2浪以上の男性の入学者数は37人います。

かなり不自然なデータです。

詳しくは下記記事にまとめています。

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女性差別のある医学部まとめ

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