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研修医(医学生講師OG)との対談~研修医生活について

当塾の元講師で、現在研修医として活躍している医学生講師OGに、研修医の生活について対談形式でヒアリングを行いました。

*聞き手:高梨(ACE Academy塾長、医学部卒業、初期臨床研修修了)

<対談動画>

研修医(医学生講師OG)との対談〜研修医生活について

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研修医の生活について(いいこと・辛いこと)

まずは、研修医の生活について、いいこと・辛いことみたいなものをざっくり教えてもらいたいと思います。

研修医の生活について(いいこと)

「今研修している病院で、いいことはある?」

研修医:「いいことは、世間一般の研修医のイメージのように、早朝から夜遅くまで働いて電話がかかってきたらすぐに行かなきゃいけないみたいなことを想像してたんですけど、それが案外QOLが保たれていることでしょうか。それと、上級医の先生や看護師さんも優しいので、メンタル的に辛いことはありません。仕事はたくさんありますが、いわゆるいじめみたいなものはなく、辛い思いはしていません。」

塾長:「なるほど。基本的に割と楽な病院を選んだんだよね。人間関係において風通しもいいというような感じですか?」
研修医:「はい。人間関係においても風通しがよく、みんなゆとりがある病院です(笑)。」

「当直は何回くらい?」「朝は早い?」

研修医:「私の研修先では当直は月3回です。」

塾長:「じゃあ、そんなに激しくもなく、でも患者さんを全く診ないわけでもなくって感じかな?」
研修医:「そうですね。重症の患者さんがたくさん来るような病院ではないので、一般的な病気が網羅できる感じです。」

塾長:「朝がめっちゃ早いみたいなことはない?普段は何時くらいから始まりますか?」
研修医:「一番早くて7時過ぎくらいで、基本は8時過ぎくらいです。辛い病院はもっと早いと思うので、結構稀有な例だと思います。」

「手技とかも結構やらせてもらえるの?」

研修医:「はい。厳しい大学病院などでは研修医には触らせないというところが多くありますが、私の研修先は市中の比較的ゆるめな病院なので、挿管やCV挿入など、できたらラッキーとされている手技も割とやらせてもらえたりします。担当ではなくても、「こういう手技があるから今度呼ぶね」などと言ってもらえることもあります。」

塾長:「なるほど。一通り内科や外科も回ったの?外科の手術をやらせてもらうことはありますか?」
研修医:「はい、回りました。外科の手術では、腹腔鏡のカメラをやらせてもらったり、「ここ結んで」と言われて縫合なども経験しました。あと、まだ途中ではありますが、最後の方になったら症例1例でオペレーターとして執刀させてもらえる予定です。」

塾長:「それはすごいね。それは何の症例?最初から最後までではないよね?」
研修医:「まだわかりませんが、虫垂炎とかだと思います。詳細は詳しく聞いていませんが、一応オペレーターになると言われているのでおそらく最初から最後までなのではないかと思われます。病院の中ではこのような外科系のプログラムを売りにしているところもありますが、私の研修先はガンガン行く感じではない中で、意外と色々やらせてもらえます。入ってみたらわかったことの一つです。」

塾長:「なるほど。それは、優秀だから優遇されているとかではなくて?(笑)」
研修医:「全然そんなことはなくて、先生が、研修医に色々やらせたいという感じです。ただ、そのような症例が来た場合の話になるので、時期にもよると思います。」

塾長:「じゃあ本当にいいことだらけですね。比較的楽で、いろいろ経験させてもらえるし。」
研修医:「成長という意味では、何でも自分でできるようになったという感じはありませんが、逆にいうと、”自分に任されてしまってどうしよう・上の人にも聞けないし”などといったことはないので、割と守られている環境ではあります。」

研修医の生活について(辛かったこと)

「逆に、辛かったことはある?」

研修医:「やっぱり、分からないことだらけなので、上級医の先生たちが「あれやっといて」などと気軽に言って外勤などにそのまま出かけてしまったとき、どうしたらいのかと考えました。あとは最初は当直なども慣れていないため、そもそも夜中に一人で病院にいることが嫌でした。でも、慣れてきて要領がつかめてくると、このような場面ではこういう人に聞けばいいんだとわかってきて、ある程度は対処できるようになりました。」

「当直の時の研修医の役割などはどんな感じ?」

研修医:「私の研修先は、基本的に上級医の先生が救急車からの電話を受けて、その先生や看護師さんから何分後に救急車が来ると研修医に伝えられて向かう感じです。ほとんどの場合、上級医の先生が患者さんの状況と必要な検査や点滴、薬の指示を出してくれるので、指示に従ってひたすら作業するということが多いです。先生によっては、研修医に自分で考えさせたり問診を取らせたりすることもあります。」

塾長:「なるほど。基本的に、研修医一人で放置されるみたいなことはないのかな?」
研修医:「研修医一人で放置されることなどはないです。外科系の症例も先生について一緒に症例を見たりします。」

塾長:「それが一番効率がいい気がするよね。考えてって言われても困るもんね。一年目は先生にしっかりついてもらって、二年目から少しずつ自立していくみたいな感じがちょうど良さそうな気がします。」
研修医:「そうですね。基本的に一人に任されることはありませんが、逆に、やりたいと言えば多くのことをやらせてもらえる環境ではあるので、とても守られていると思います。」

塾長:「それはいいね。じゃあ、正直めちゃくちゃ辛いとかやめようと思ったということはない?」
研修医:「はい、それはないです。」

塾長:「いい病院ですね。僕が研修した病院も似たような環境だったけど、どっちかと言うとハイポな病院だね。」
研修医:「はい、そうだと思います。」

研修医になるために準備しておいた方がよいこと

次は、よく聞かれるれることだと思いますが、研修医になるために準備しておいた方がよいことについて教えてもらいたいと思います。

「医学生や研修医になったばかりの人たちに向けて、何かアドバイスはある?」

研修医:「そうですね、手技などはある程度できる前提で指示されることが多いので、よくある研修医の手技マニュアルなどに一度目を通しておくとよいと思います。すぐにはできないにしても、流れや必要な物品の把握ができると思います。」

塾長:「勉強面では何かアドバイスはありますか?」
研修医:「国試レベルの知識は必要ですが、正直私も国試が終わってから勉強し直したみたいなことはないので、症例を渡されてからそれについて調べるくらいでした。逆に準備しておくとしても、どんな症例が来るのかはわからないので…。」

塾長:「確かに(笑)。じゃあ本をたくさん読むみたいなことはあんまりしていないんだね。」
研修医:「そうですね、私はしていません。友達の中には、先輩におすすめの本を聞いて、研修が始まる前に買って読んだと言っている人もいました。予習はしておくに越したことはないと思いますが、正直、上級医の先生たちが求めているのは、知識というよりかは、言ったことをやってくれたり事務作業をこなすことだと、少なくとも私の研修先においては思います。」
塾長:「確かにわかる気がします。」

研修医って、勉強というより事務作業が多い?

研修医:「そうですね、事務作業めっちゃ多いです(笑)。」
塾長:「電子カルテだっけ。やっぱりPCスキルは大事?」
研修医:「はい。PCスキルにおいてはブラインドタッチは必須だと思います仕事の時間はPC作業が多いので、そこが早く終われば早く終わりますし、PC作業が遅いと仕事自体に時間がかかってしまうと思います。
塾長:「早く終わったらその分余裕ができて勉強とかもできるしね。」
研修医:「はい、その通りです。」
塾長:「そしたら講師として働いていたからPCスキルは身についてよかったんじゃない?(笑)」
研修医:「そう思います(笑)」

塾長:「あと、文章書くことが多かったりするよね?」
研修医:「はい。文章を書くことは多いです。カルテの文面は普通の話し言葉とは違い、独特な言い回しがあります。他の病院への紹介文や他の科の先生への依頼文なども書きます。例えば、‟御加療、御高診賜ります”など、今まで使ったこともない文章を毎日書くので、そういうことがあるということくらいは知っておくとよいかなと思います。」

塾長:「紹介状と御高診の依頼とサマリーを書くことが多いよね。PCスキルも大切だけど、文章を書きなれていることも大事な気がする。」
研修医:「はい、そうですね。あと電話対応も多いので、要件を整理して言うことも大切です。」
塾長:「ちゃんと整理して伝える能力が求められますね。」

研修医はプレゼンもする?

研修医:「はい。先生に、この患者さんどう?と突然聞かれたとき、必要なことから順番に伝えることが求められます。細かい病気の内容というよりは、プレゼンの流れや話し方、画像を見せながら話すことなどは、学生の時の実習が役に立っている部分だとは思います。」

塾長:「大変なのはカンファレンスの準備とかだよね。プレゼンとか結構やると思うけど、どうやって準備しているの?」
研修医:「印刷もしますし、PowerPointに画像を貼ったりもします。Excelで熱やCRPの経過表を作ったりもします。」

塾長:「やっぱりPC使えると有利だし、カンファやプレゼンの準備も大事ということですね。」
研修医:「はい。そうですね。」

勉強に関しては、その場で調べたりする感じ?

研修医:「そうですね。勉強はするに越したことはないと思いますが、準備をするにしてもきりがないと思います(笑)
塾長:「よくyear noteを読んだ方がよいとか言われているけどどう?」
研修医:「困った時に一番調べやすいので使うことはありますが、あれを一冊丸々読み直すことはしないです。」

塾長:「この研修医(講師OG)はだいぶ要領の良いひとなので、後輩の医学生たちが研修医になる頃にはもう少し勉強した方がよいかもしれない可能性がありますね(笑)。でも、内容はその通りだと思うのでぜひ参考にしていただくとよいと思います。」

怒られたことはある?

研修医:「怒られたというわけではありませんが、いただいた資料の情報と実際の生活が異なっていたことがありました。2か月ごとに回る科が変わるのですが、自分の前に回った研修医から引継ぎをきちんと行っていないと、資料に集合時間の記載があっても、本当は上級医の先生が来る前に回っておいてほしかったと後から知ることがありました。」

研修医:「資料だけではなく、実際に回った人から、‟こういう時は何時に集合、あの先生に電話しない方がよい”などの内部情報は前もって聞いておいた方がよいと思います。」

塾長:「確かに。各所各所で、郷に入っては郷に従え的な部分はある気がしますね。」
研修医:「はい。そういうことは文章にしきれない部分があるので、周りの研修医に直接聞くことは結構大事かもしれません。」

研修医を乗り越えるコツ

研修医を乗り越えるコツは?

研修医:「自分に合った病院を選ぶことではないでしょうか。友達の話を聞いても、本当に病院によって行っている内容が異なります。大変な人は本当に大変ですし、研修医の範疇を超えたようなことまでできるようなところはいくらでもあると思うので、やりたい人はそういった病院を探せばよいと思います。逆に、私の研修先のように研修医にそこまで背負わせない病院では、背負わされないからこそやりたいと希望してプラスで経験させてもらうこともできると思います。そのため、どういった病院が自分に合っているのかを考えて選んだ方がよいと思います。」

塾長:「そうですね。乗り越えるという以前に、病院選びでかなり変わってくるということですね。人の真似をするよりも、自己分析をしておくことが大切な気がします。」
研修医:「はい。あとは、サイトとかに載っている情報だと給料などはわかりますが、忙しさや研修医に優しいかどうかなどは感覚の問題なので、直接聞かないとわからないことが多いと思います。そのため、病院で働いている先輩に聞いたり、実際に見学に行ったりすることはできればした方がよいと思います。」

塾長:「生の情報をしっかり聞いて、自分がそこでやっていけそうかを見極めた方がよいということですね。」
研修医:「そうですね。」
塾長:「僕も同じ意見です。研修先選びを間違えてしまうとドロップしてしまう人もいますしね。」

新専門医制度について(専攻医選びについて)

新専門医制度やシーリング制度はできて間もない制度であるため、現在研修先選びなどは相当大変だと思います。今回はあまり時間はありませんが、少しだけお話しを聞かせて頂きます。

先輩から専攻医の研修先選びなどについて聞くことはある?

研修医:「はい。やはり都内の人気医局などは自大学出身の人たちで埋まっていて、それ以外の大学の人はシーリングがかかって入れなかったり、一応所属にはしてあげるけど大学内には居られないから、都外の別の病院のプログラムに一旦入って、いつか空いたら戻ってくるように言われたという話は去年くらいから聞いています。かなり激戦になっている印象はあります。」

塾長:「”別の病院”というのは、例えばですけど、東大のプログラムだけど実際は別の〇〇県の病院に2年くらい行くみたいなことがあると結構言われていますよね。」
研修医:「そうですね。提携先となっている病院だと思います。」

塾長:「実際、今の時期(12月くらい)で専攻医の研修先が決まっていない2年目の研修医の人もいたりしますか?」
研修医:「います。初期研修でその大学を回ったから、当然そこで専攻医(後期研修)でも入れてくれると思っていたら、一杯になってしまったから入れないとつい最近言われてしまって慌てて病院を探している人もいるようです。」

専攻医の病院選びは、初期研修よりも不確定な部分が多い?

塾長:「初期研修みたいな全国一律のマッチングみたいなものとは違って、時期も決まっていないし不確定な部分が多いのかな?」
研修医:「そうですね。結構ファジーな感じで、時期は一応文章上決まっていても枠が埋まり次第終わりというところもあるため、希望する病院に確実に行けるという保証がないと思います。」

塾長:「言ってしまうと就活みたいな感じかな。」
研修医:「そうですね。色々なところから内定をもらっておくみたいな人の話も聞きます。」

塾長:「そっか。それは僕たちの時代とは全然違いますね。今と逆というか、売り手市場に近い感覚があったので。」
研修医:「今は、”早めに動き出さないと”みたいな感覚はあると思います。」
塾長:「なるほど。情報収集をしっかり行うことが大事だということですね。」

結局、初期研修先を選ぶ段階から専攻の医研修先も関わってくる?

研修医:「そうですね。大学病院以外でも、大きな病院などではオリジナルの研修プログラムをもっているところもあって、一つの病院で初期研修から専攻医の研修までできることなどを見据えて初期研修先を選ぶ人もいます。また、大学病院に残りたいから大学で研修するという人もいます。そのような場合は、初期からいた方が多少は有利になるのかなと考えられます。」

塾長:「例外はあるとは思いますが、基本的には、初期研修をやっている人や自大学出身の人が優遇されることが多いですよね。」
研修医:「そうですね。若干自大学出身の人の方が有利な気がします。初期研修で回っている他大学出身の人よりも、初期で他をまわっていても自大学出身の人の方が有利なイメージはあります。」

塾長:「なるほど。他を回っていても自大学の病院に戻ってこられる場合があるということですね。」
研修医:「はい。なので、他大学出身で初期研修を回っているからといって、その大学病院で専攻医研修まで確実にできるかと言われると、そうではないということになります。」

塾長:「そうなると、出身大学や大学に入学する時点の大学選びから関わってくるなどといった結構恐ろしい状態になる可能性があるということになりますね(笑)」
研修医:「科にも病院にもよると思いますが…。」
塾長:「最終的には、医局ごとに先生が判断することになると思うので、例外は多くあると思いますね。」
研修医:「はい。その通りです。」

新専門医制度などはここ最近でできた制度であるため、具体的な内容はあまりわかっていないことが多くあります。

今の初期研修医は、ちょうど新しい情報などがたくさん入ってくる時期であるほか、特にこの研修医(講師OG)は判断力が優れているため、今後、後輩に向けてリサーチや情報収集を行って頂く予定です。

新専門医制度については下記↓で詳しく説明しているのでよかったらご参照ください。

シーリング制度についてはこちら↓

Q&A

塾長:「最後に、僕の方に何か聞きたいことなどはありますか?」
研修医:「今は結構ゆるゆるな感じでいるので、専攻医(後期研修)に向けてこのままでよいのか考えているところはあります。周りの友達とかが色々頑張っているのを見て少し不安に思っています。」

塾長:「大学病院よりは市中で研修している方が、手技などを経験する機会は多いと思うから、平均よりは経験を積んでいるのではないかと思います。」

研修医:「そうなんですかね。ここを出たときに世間知らずになっていたら怖いなというところはあります(笑)。」

塾長:「僕自身も似たような病院でかなりハイポな病院で研修をしましたが、実際僕の同期が今どうかというと、普通に専門医をとって立派な医師になっています。専攻医でめっちゃハイパーなところに行きたいとなると話は別ですが、そうではないならば心配しなくても大丈夫だと思います。」

研修医:「なるほど。少し安心しました(笑)」
塾長:「一つあるとしたら、研修医3年目以降でバイトをする人が出てくるのですが、そのときに、病棟管理や当直などがバイトをしやすいと思います。それを見越して研修医2年目に当直をあえて多く入れて独り立ちをする練習をしていた人もいました。その人は、”それをやっていてよかった・3年目のバイトを自信をもってできた”と言っていました。」

研修医:「当直しっかり頑張ります(笑)」
塾長:「2年目はきっと余裕がでてくると思うので、余裕があるときに当直を入れておくと自信につながることは多いと思います。」

 

また機会があれば、新専門医制度における専攻医の病院選びについてもお話ししたいと思っているので、この研修医(講師OG)にリサーチをお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

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