昭和大学医学部の女性差別や多浪不利の可能性の検証について

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2018.9/14更新

文科省の調査結果から、昭和大学医学部では全国の医学部の中でもトップクラスで男性と比べて女性の合格率が低いことがわかりました。
現時点で大学側は得点調整等は行っていないとの回答をしており詳細は不明ではありますが、データ上は明らかに女性の合格率が低いデータとなっています。

偏差値や教科の難易度が高くなっても女性の合格率に影響しない

よく「偏差値が高い大学や、数学や理科の難易度が高いと女性が不利になるのでは」という意見が見受けられます。
しかし、今回の調査から「偏差値や教科の難易度が高くなると女性不利になる」という仮説は明確に否定できるといえます。

 

6年間の合格率の男女比(男性合格率/女性合格率)をみますと、
東大1.03、東京医科歯科1.11、東北1.13、阪大1.13、神戸1.04、慈恵会医科大学1.06 と、難関〜最難関の医学部において男女差をあまり認めないにも関わらず、

順天堂1.67、昭和1.54、日大1.49、東北医科薬科1.54、埼玉医科1.35 など、非常に大きな男女差を認める医学部が存在します。(私立医学部だけでなく、国公立医学部においても男女差が大きい医学部は複数存在します)

以上から、偏差値や教科の難易度の合格率への影響は否定できると言えます。
実際に当塾のこれまでの卒業生のデータからも、男女別の成績に有意な差は認めません。

全国医学部の文科省データのリンク

全国の医学部の6年間における性別および年齢別の詳細なデータが公表されました。

全国医学部のデータ

昭和大学医学部の性別、年齢別の合格率

<資料の注意点について>

・文科省の第一報であり正確性は担保されていない
本データは文科省による調査の第一報であり完全に正確なものではない可能性があり、今後データの修正が行われる可能性もあります。
しかし当塾で調査する範囲では大学ホームページ等で公開されている受験者数や合格者数等と大きな相違はないため、十分参考に値する調査データであると考えています。

・推薦入試などすべての試験を含んだ結果である
本データは一般入試だけでなく推薦入試等すべての試験を含んだデータとなっています。しかし昭和大学医学部は大部分を一般入試が占めています。

・元データは浪人年数ではなく年齢別のデータになっています。わかりやすくするため当塾にて浪人年数に置き換えています。
(18歳以下→現役 19歳→1浪 20歳→2浪 21歳→3浪 22歳以上→4浪以上)
年齢の定義にもよるため、明確に浪人年数でわかれていない可能性も考えられます。ただし大部分の受験生は上記浪人年数に当てはまるため大きな傾向はつかめると考えます。
また、再受験生かどうかは把握できません。あくまでも年齢別のデータになります。

平成30年のデータ

受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)男女比(倍)
区分男性女性男性女性男性女性
合計3,2642,2275,4912301053357.0%4.7%1.49
現役1,0761,0362,1121095816710.1%5.6%1.81
1浪1,1096591,76888421307.9%6.4%1.25
2浪593326919225273.7%1.5%2.42
3浪220108328100104.5%0.0%
4浪以上266983641010.4%0.0%

過去3年間のデータ

受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)男女比(倍)
区分男性女性男性女性男性女性
合計10,7876,99617,7836752979726.3%4.2%1.47
現役3,4803,1056,5852831634468.1%5.2%1.55
1浪3,4702,1585,6282871134008.3%5.2%1.58
2浪1,9131,0062,9197918974.1%1.8%2.31
3浪8163591,175213242.6%0.8%3.08
4浪以上1,1083681,4765050.5%0.0%

全国で3番目に合格率の男女差が大きく1.54倍にのぼる

昭和大学医学部は、例年大きな男女差を認めます。6年間の合計では全国82の医学部の中で3番目に合格率の男女差が大きい医学部になります。(1位:順天堂医学部、2位:東北医科薬科大学、3位:昭和大学医学部)

6年間合計で男性の合格率は女性の合格率の1.54倍にものぼります。

4浪以上の女性は843人が受験して合格者は0人

現役や1浪においても他医学部と比較して大きな男女差を認めますが、特に2浪以上において顕著になっています。

4浪以上の女性においては6年間で843人が受験して合格者は0人です。

ここ2年間3浪以上の女性の合格者は0人

ここ2年間では、3浪の女性も合格者は0人となっています。
2年間で3浪以上の女性は448人が受験して合格者は0人となっています。

2浪の合格率の男女差は2.87倍にものぼる

3浪以上だけでなく、2浪の男女差も例年非常に大きく、6年間合計では合格率の男女差は実に2.87倍にものぼります。

6年間合計で2浪の女性は2015名が受験し、合格者はわずか38名であり、合格率は1.9%となっています。
一方、6年間合計で2浪の男性は3847名が受験し、合格者は208名であり、合格率は5.4%となっています。
上記の通り合格率の男女差は2.87倍となります。

4浪以上の男性の合格率はわずか0.6%

女性だけでなく、4浪以上の男性も合格率は大きく低下し、6年間合計で2510名が受験し合格者はわずか14名であり、合格率は0.6%となっています。

実際に今年受験した再受験生(20台後半)の男性の生徒で、面接において「寮に入るとその年齢だとみんなびっくりしちゃうけど、どうするの?」と聞かれた例があります。

補欠繰り上がり合格での調整を行っている可能性について

昭和大学医学部では、「補欠の繰り上がり合格を女性にまわさないようにしている」という声が関係者からあがっていますが詳細は不明です。

昭和大学医学部では一般入試にI期とII期(前期と後期と同義)の2つの試験があります。
それぞれ正規合格者と補欠対象者が発表されますが、補欠の順位は公表されません。(慈恵会医科大学、日本医科大学など補欠順位が明確に公表される私立医学部は複数存在します)

そのため、補欠繰り上がり合格の対象が、I期とII期からどのように繰り上がっているのか全くわからない形になっています。

これは可能性の話にすぎませんが、例えばI期とII期あわせて女性には繰り上がり合格をまわさないようにすることも大学側はできてしまう状態ではあります。

昭和大学医学部の二次試験について

昭和大学医学部の二次試験は面接と小論文ですが、面接は医学部受験の中でも拍子抜けするほど緩いものとなっています。

実際昭和医学部の二次試験を受験した卒業生からの声を整理すると、

・10分間の面接で、延長はなく時間が来たらすぐに退出。

・小さな部屋で行うのではなく、大部屋を区切ったブースのようなところで面接を行う。
そのため、他の受験生の声も聞こえてくるような環境。

・質問内容は、志望理由、医師を志した理由、趣味についてなど典型的。

・雰囲気は和やかで緊張はしない。

 

上記から、面接試験はかなり緩い雰囲気であり、時間も10分と短い設定になっています。

小論文も一般的な内容なので、少なくとも他の医学部と比較して二次試験を重視している印象は全くありません。

当塾の卒業生の合否データからの分析

当塾にて昭和大学医学部の一次試験に通過した卒業生のデータです。

2018年

一次試験合格者 男性7名 女性5名

二次試験合格者 男性5名 女性0名

*なお、2018年は上記と別に、昭和大学医学部に推薦入試で合格した女性の卒業生が1名いますが、これは指定校推薦であり、全国で1名しか受験生が存在しなかった試験であり一般入試とは全くの別物になります。

 

2017年

一次試験合格者 男性1名 女性3名

二次試験合格者 男性1名 女性0名

 

上記を合計しますと、
2年間で一次試験合格者男性8名のうち二次試験合格者は6名、女性は一次試験合格者が8名ですが二次試験合格者は0名です。

さらに、男性は二次試験合格者6名のうち昭和医学部以上の医学部に合格した卒業生は2名です。

一方、女性は二次試験不合格者8名のうち、横浜市立医学部、新潟医学部、浜松医科大学、群馬大学、慈恵会医科大学(2名)など国公立医学部や昭和医学部より難易度の高い医学部に進学している卒業生が過半数を占めています

具体的な進学先は下記(8名は全員が医学部に進学)
慈恵会医科大学(横浜市立医学部合格)
慈恵会医科大学(新潟医学部合格)
新潟大学医学部
浜松医科大学
群馬大学医学部
日本医科大学
東京医科大学
国際医療福祉大学医学部

当塾のデータからも、昭和大学医学部は女性不利といっても不思議はない結果です。
また、一次試験は女性も合格しているため、二次試験において調整が行われているor上記のとおり補欠繰り上がり合格で調整を行っている可能性は否定できない結果だといえます。

得点調整は行われているのか

得点調整について、昭和大学医学部は少なくとも現時点では否定をしており、
「試験の結果によるものと考えている」とコメントしているようです。

しかし、東大、東京医科歯科大学、阪大、神戸大、慈恵会医科大学などで大きな男女差を認めていない中、合格率にこれだけの男女差を認めている以上、もし公平な試験をしているのであったとしても、「女性が不利になるような試験を行っていることの裏返し」だといえます。

また、女性を不利にする意図がなかったのであれば、6年間の中で女性の合格率が低いことに気がつき、試験内容を是正する動きがあっても不思議ではありませんが合格率の是正はされていません。

2010年以前の昭和大学医学部の生物の試験は適切といえるか

参考に2010年の昭和大学医学部で出題された生物の問題の一部を掲載します。

下記をみていただければわかりますが、生物の学力を試す試験として適切といえるか疑問が生じます。
受験生にとっては、文意が通っていれば正解になったのか、一字一句あっていないと不正解になったのかの判断すらできない状態でした。

このような試験では、いくら公平に採点をしたといっても、「生物受験生が多い女性を不利にする効果は十分ある」と考えられます。

試験内容や公表内容の是正を

上記はすべて独自の分析であり、現時点で昭和大学医学部は得点調整は行っていないというコメントをされています。
そのため現時点ではそのコメントを信じる他ありません。

ただし、上記データのように、女性や4浪以上の男性の合格率が低い状態が少なくとも6年間続いている状態なのは間違いありません。

調整を行っていないのであれば、試験内容や入試結果の公表内容の是正を期待します。

具体的な是正内容について

最後に、独自に考える具体的な是正方法について列挙します。

・すべての試験形式において、補欠順位を公表する

・一次試験および二次試験それぞれの性別、年齢別の受験者数、合格者数、合格率を各試験形式ごとに公表する

・一次試験および二次試験の得点開示を全受験生を対象に行う
現状では、一次試験に合格すると開示ができない他、開示を行っても一次試験の結果のみとなっています

・二次試験の配点(点数化しているのであれば)と、性別および年齢別の得点分布を公表する

他にもありますが、最低限上記の公表を行わない限り、データにおける大きな男女差の理由を説明することはできないと考えています。

 

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女性差別のある医学部まとめ

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