東京大学教育学部附属高校ってどんな高校?
東京大学教育学部附属中等教育学校は、東京都中野区にある国立の中高一貫校です。高校からの募集はほぼなく、1学年は約120名と小規模です。
東京大学の研究学校として双生児研究を行っているため、各学年に10組程度の双子が在籍しています。なお、東京大学への優先入学制度はありません。
特色としては、高1冬〜高3夏にかけて行う卒業研究が挙げられます。
各々がテーマを設定し、実験などを行いながら約1年半かけて論文(16000字以上)を執筆します。提出が卒業の必須条件のため負担は大きいですが、自身の研究を大学の推薦入試に利用する人も多く、外部からの評価も高いです。
校風・生徒の雰囲気について
校則は非常に緩く、制服もありません。学校生活は生徒の自主性に委ねられています。
自由な校風と特殊な入試からか、個性的な人や、学力テストでは測れない能力に優れた人(作文やプレゼンが上手い、空間認知やパズルが得意、機械に非常に強いなど)が多い印象があります。教員もユニークな経歴を持つ方が多く、小規模な学校のため生徒との距離も近いです。
普段の授業は、机をコの字型にして、生徒同士が話し合いながら進行します。
「未来にひらく自己の確立」という教育目標にあるように、大学受験に特化した指導ではなく、「生きる力」を養うための教育が行われています。
立地・設備について
都心(新宿からバスで約15分)にあるため、様々な路線からアクセスでき、立地は良いです。
校舎は少し古いですが、運動設備は充実しています。特に全面人工芝のグラウンド(200mトラック、野球場、サッカー場)は運動部の練習試合などにも利用され、景色も良いです。
また、東京大学と連携しているため、手続きを行えば関連施設を利用することもできます。
東京大学教育学部附属高校での学校の勉強について
受験指導に力を入れていないため、進度はかなり遅いです。
私の学年では、数3・物理は高3の4月から始まり、有機化学は高3の夏休み明け、高分子は11〜12月頃に入ったと記憶しています。
ただし宿題はほとんどなく、履修科目も多くが選択制のため、自習時間は確保しやすいと思います。難関大を目指す人は、空きコマの時間に自主的に勉強を進めていた印象です。
カリキュラムに関しては、高2からはほぼ全ての科目が選択制です。自ら履修したい科目を登録し、各々の時間割の下、教室を移動して授業を受けに行きます。
学力や進路別のクラス編成は行われないため、東大や医学部を目指す人・芸術系大学を目指す人・進学を希望しない人などが同じ教室で授業を受けることも多いです。
その結果、自分のレベルと授業の内容が合わないこともありますが、先生方もそれはわかっているので、自主的に勉強していても見守って下さることが多いです。(ただし、先生にもよります。授業中の課題はしっかり取り組む・先生からの問いかけには反応するなどは大前提です。)
定期テストについて
2期制のため学期ごとに中間テストと期末テストがあり、年間では計4回(高3のみ3回)の定期テストがあります。
平均点は科目や先生によってかなり幅があり、受験には出ないような変わった問題が出されることもあります。一部の科目では参考書や問題集(解答付き)の持ち込みが許可され、丸暗記では対応できないようになっています。
ただ、ほとんどの科目は基礎を理解していれば平均点は取れると思います。特に理系科目に関しては、普段から大学受験の勉強をしている人は、特別な対策をしなくても難なく対応できていた印象です。
宿題・講習について
科目によりますが、宿題・講習はほぼありません。
授業中の小テストに関しても、私の学年はほとんどありませんでした。(これに関しては、担当の先生によるところが大きいです。)
ただしその代わりに、高校生は各自で卒業研究に取り組む必要があるため、論文の執筆に時間を拘束されることが多いです。
東京大学教育学部附属高校の課外活動について
部活について
ほとんどの生徒が何らかの部活に所属しています。
教員の人数の都合上、活動日や活動時間にやや制限はありますが、運動部・文化部いずれとも大会で入賞し、表彰を受ける人は多いです。
学校行事などについて
文化祭は各学年、部活ごとに一丸となって取り組みます。特に、高3の卒業研究や生物部の公開解剖は外部からの評価も高く、人気です。
その他にも体育祭や校内競技大会など様々な行事がありますが、特に強制される雰囲気はないため、どんな生徒でも参加しやすいです。
前述の通り、卒業研究があることが最大の特徴です。提出前の時期はほとんどの人が寝不足になるほど大変ですが、卒業研究を通して進路を決めたり、推薦・AO入試で大学に合格したりする人も多く、真剣に取り組む価値はあると思います。
また、少数ですが海外留学をする人もいます。学校側から特に推奨されているわけではありませんが、やりたいことは基本的に何でもできる環境のため、先生に相談すれば応援・協力をしてくれます。
東京大学教育学部附属高校の受験について
受験勉強を始める時期について
多くの部活が高2の冬〜高3の始めに引退するため、部活引退後から受験勉強を始める人が多いです。
ただ、全学年を通して学校側からは特に受験指導はされないため、それまで自主的に勉強してきた人と何もしてこなかった人との間では、既に大きな差がついていた印象です。
志望大学について
年にもよりますが、私の学年(120名弱)では 2:1ほどで文系が多く、専門学校への進学や就職を希望する人も一定数いました。
大学受験に関しては、推薦入試を利用する人が非常に多いです。理由としては、指定校推薦の枠が多いこと、卒業研究をアピールとして用いる人が多いことが挙げられます。
また、全体では私立文系を志望する人が多く、国公立まで受験する人は学年全体の2〜3割だと思います。
同様に、毎年学年の2〜3割程度が国公立大学や難関私立大学を目指して浪人します。
塾通いについて
高1から通い始める人と、高3から通い始める人に分かれていたと思います。高3の夏の時点では、ほとんどの人が塾や予備校に通っていました。
医学部志望者数・合格者数について
年にもよりますが、医学部志望者は学年(約120名)の1割未満だと思います。理由としては、そもそも理系選択者が少ないこと、学費面から医学部を考えない人が多いことが挙げられます。
医学部を目指すのは、各学年の上位層の人たちです。
医学部合格者は浪人生がやや多い印象があります。しかし、そもそも志望者が少ないため、現役との比率差はそこまで大きくないと思います。
実際、現役で国公立医学部・難関私立医学部に合格する人は数名存在します。そのため、進学校ではありませんが、学校のシステム(宿題がほぼない、不要な科目は履修しなくてよいなど)を効率よく活用できれば、現役合格も十分狙えると思います。
学校のサポートについて
医学部を志望する人が非常に少ないため、情報提供や対策講座はありません。ただし、面接練習や願書の添削に関しては、自ら先生に依頼すれば対応して下さいます。
また、受験に関して不安な点は、相談すれば親身になってくれることが多いです。受験指導に力を入れていないので、何も相談しないと学校側からも本当に何もされないため、自ら行動していくことが大切だと思います。
体験談・後輩へのアドバイス
いつから受験勉強を始めたか
高校時代はほとんど勉強をしていませんでした。授業中はノートをただ書き写すだけで内容は理解せず、宿題も出ないため家で勉強する習慣もなかったです。
学校の定期テスト前は、最低限の基礎知識だけ丸暗記して臨んでいました。そのため得点は平均点前後で、評定もそこまで良くありませんでした。
高校時代に通っていた塾について
高校3年間は大手集団予備校に通っていました。
しかし、ここでも授業中はノートを書き写すだけで、内容の理解を伴わないまま受講しており、正直時間を無駄にしていたと思います。
現役時の成績について
高校時代はそもそも勉強していなかったので、何が得意・不得意かさえわからなかったです。ただ、数学・物理・化学(理論)は特に成績が悪かったため、苦手意識がありました。
英語に関しては、中学英語の習得度は高かったため、学校や模試での成績はそこまで悪くなかったです。
後輩へのアドバイス
学校の空きコマを有効的に活用し、自主的に勉強することが重要だと思います。学校の進度はかなり遅いため、自らコツコツ先取り学習ができる人が医学部現役合格を掴んでいく印象です。宿題が出されないからといって何もせずに遊んでいると、受験本番に間に合わず、浪人する可能性が高まると思います。
科目選択に関しては、推薦入試を狙うなら評定の取りづらい科目は履修しない、一般入試を狙うなら負担の大きい科目は履修しない、といった工夫が必要だと思います。高2でできるだけ単位を取り、高3で空きコマを多く作ると自習時間が増やせてお得です。
また、卒業研究は計画的に進めて、高2のうちに終わらせることをオススメします。いつまでも先延ばしにしていると、高3の6〜7月は一切勉強する時間が取れなくなります。
高3になると、推薦入試で早めに合格を決めていく人が多いため、一般入試を受ける人は秋〜冬頃のメンタル管理が大変だと思います。とにかく周りのことは気にせずに、辛い時は先生に相談するなどして乗り越えると良いと思います。ぜひ頑張って下さい。
浪人時の予備校の選び方
私は1浪で複数の私立医学部に合格しました。
浪人時代通っていたのは、医学部予備校ACE Academyです。
私が ACE Academy を選んだのは、
・集団講義がないため時間を有効に使える
・友達づくり禁止のため勉強に集中できる
・全科目一括管理のためバランスよく勉強できる
ためです。
ACE Academy では、基礎問題集だけに取り組んだことで上滑りを防ぎ、本質の理解を深めることができました。その結果、入塾後初めての模試(5月)で数学・英語・生物の成績が一気に伸びました。
そしてこのときに、化学の取り組み方を徹底的に分析・改善した結果、次の模試(8月)では化学も含めた全科目で成績を伸ばすことができました。
元々苦手ではなかった英語に関しても、単語や文法などの基礎事項を更に固めたことで、受験直前まで成績は伸びていきました。
授業なし・全科目一括管理・友達作り禁止というシステムは、他の受験生よりもスタートラインが後ろだった私にとって、合格への最短経路だったと思います。
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