主体性評価とは?
主体性評価とは、文部科学省が進めている大学入試改革の取り組みの一つで、近年医学部入試にも影響を及ぼすのではないかと注目を集めています。
受験情報サイトReseMomの記事によると、
主体性評価とは、
“「学力の3要素」を多面的・総合的に評価できるよう、学力以外に受験生の今までの取組みや人柄(主体性)も評価の対象にするというもの。文部科学省が進めている大学入試改革の取組みのひとつである。”
とあります。
これまでも、調査書や志願理由書などの提出書類には、何らかのかたちで自己PRや自身の活動について記載する部分がありましたが、これからはそれらの活動が点数化されて評価に用いられるようになるようです。
受験生への影響
2021年度の医学部受験では、国立大学2校、私立大学3校で導入されています。
主体性や課外活動などはこれまでも重視されていた点ではありますが、今後は、部活動やボランティア活動などにおける主体的な取り組みが点数化されるなどして、合否に影響を与える可能性が出てきます。
下記にも記すように、現段階では評価にほとんど加味されず、参考程度に使用する大学が多い印象です。
一方で、ボーダーライン付近の受験層や同点で並んだ場合には、主体性評価を合否判定に用いる大学もあるため、少なからず合否に影響を及ぼす場合があるようです。
導入のされ方
東北大学医学部
出願時に「主体性評価チェックリスト」を自己申告。合否ラインに同点で並んだ場合、チェックリストによる評価が高い志願者を優先的に合格とする。
金沢大学医学部
調査書の記入欄に対応した評価項目を設定し、点数化する。
学力検査の合計点により合否のボーダー層を抽出し、このボーダー層の志願者にのみ主体性評価の得点(共通テストと個別学力検査の合計配点の概ね2%)を加算して合否を判定する。
慶應義塾大学医学部
インターネット出願の際、「主体性」「多様性」「協働性」についてどのように考え、心掛けてきたかを、100字以上500字以内で入力する。(出願要件だが、合否判定には用いず、入学後の学習指導上の参考資料としてのみ活用)
東海大学医学部
出願時に「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の経験(中学校卒業後から現在に至るまでの期間)について50~300字程度の文章を提出する。出願要件だが、点数化せず、入学後の教育の参考資料として活用。
日本大学医学部
Web出願時に「主体性」「多様な人々との協働性」についての経験を入力する。 (原則、選抜の際に評価をしない)
まとめ(解釈)
主体性評価は、学力テストでは評価されにくい活動(ボランティアや部活動など)を評価の対象にしようとする取り組みです。
現時点では、全国82の医学部のうち5大学のみで導入されていて、そのうち点数化されるなどして合否判定に用いられる大学は2大学のみとまだ本格的に導入している大学は少ないです。
また、導入されているいずれの大学も学科試験を優先しており、主体性評価のみが合否を大きく左右することはありません。ボーダーライン付近の層や同点で並んだ場合に使用されます。
その他の大学では主体性評価の提出が出願要件には含まれているものの、参考程度に使用される場合がほとんどであるため、今すぐに主体性評価のための対策を行う必要はなさそうです。
このように、文部科学省が主体性を評価する取り組みを進めていることは事実ですが、実際の試験では一次試験に合格する、または、ボーダーラインに乗ることがまずは必要となるほか、学科試験でそれなりの点数を取らなければ主体性について評価の対象にならない可能性もあります。
まとめとしては、主体性評価が医学部受験へ及ぼす影響は現時点では少ないため、これまで通り学科試験の対策を優先するとよいと考えます。