<解説動画>
問題の難易度と合否の難易度は一致しない
「問題の難易度と合否の難易度は一致する」と思っている受験生は少なくありませんが、これは明確な誤りです。
この点を誤って認識してしまうと、問題集選ぶ時、スケジュールを立てる時に間違えた戦略を立ててしまいます。
よくある例として、学校の先生に志望校を伝えると、過去問をみた先生に「こんな難しい問題が出題されているから、応用問題集をやらないと!」とアドバイスされる、というものがあります。
難問が出題されているからといって、必ずしも応用問題集の習得が必要な訳ではありません。(むしろ不要なケースも多い。)
その理由について、以下で詳しく説明していきます。
”問題が難しいほど合格が難しい”は成立しないのはなぜ?
問題の難易度は総合大学<単科医科大学だけど…?
先生や親御さんからもよく勘違いされているところなのですが、具体的に考えると分かりやすいかと思います。
国公立大学医学部で考えてみましょう。
国公立大学は、大きく「総合大学」と「単科医科大学」がありますが、一般的に、「総合大学」より「単科医科大学」の方が問題は難しくなる傾向がみられます。
例えば、福島県立医科大学、浜松医科大学といった単科医科大学は、数学の難易度が非常に高いことで有名です。
一方、総合大学である千葉大学や筑波大学の問題をみると、オーソドックスな出題が多く、単科医科大学の問題と比較すると難易度はさがります。
では、ここで考えてみてください。
答えは、ご想像の通り千葉大学医学部です。
(河合塾の偏差値をみると、千葉大学は70、福島県立医科大学は65。)
具体的に考えてみると、「問題が難しいほど合格が難しい訳ではない」ということがお分かりいただけるかと思います。
問題の難易度と合格難易度が逆転する理由
「問題の難易度と合格難易度の逆転」が起こる理由はとてもシンプルで、合格難易度は受験層のレベルによって決まるからです。
千葉大学の偏差値は70、福島県立医科大学の偏差値は65ということで、この2校を比較すると、千葉大学の方が学力の高い受験生が多く受験する傾向にあります。
千葉大学は問題がオーソドックスではあるものの、受験層のレベルが非常に高いため、合格難易度が高くなると言えます。
一方、福島県立医科大学は千葉大学と比較すると、受験層のレベルが下がります。(あくまでも比較した場合の話で、偏差値65はそう簡単ではありませんが…。)
福島県立医科大学は確かに数学の難易度は高いのですが、合格最低点も低い、という点にも注意してください。
難易度が高すぎる問題については、合格者ですらほとんどが解けていない可能性があります。
実際、当塾からは2020年入試において3名の卒業生が福島県立医科大学合格されました。
合格体験記を見て頂ければ分かる通り、どの卒業生も難問奇問を解くための問題集は演習していません。
難易度が高い問題ではあまり差がつかず、基礎がしっかりとできていれば解ける問題で得点することで、合格ラインに達することが可能ということが言えるでしょう。
まとめ
「問題の難易度」と「合格の難易度」は別物です。
過去問研究を行い出題された問題に合わせて問題集を選んでしまうと、戦略を誤ってしまうリスクがあります。
「合格の難易度」が知りたい時は、過去問の難易度ではなく、偏差値ランキングを活用しましょう。
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