<解説動画>
医学部受験に応用問題集は必要ない?
運営している医学部予備校では、例年「全教科基礎問題だけ」の使用で医学部に合格される方が少なくありません。
*医学部合格体験記にて各生徒が使用した問題集・参考書を記載しています。
「医学部受験では難しい問題が出題されるから応用問題集は必須」という印象を持たれている方には、不思議に感じるのではないでしょうか。
「なぜ応用問題集を使わずに医学部に合格できるのか」を説明していきたいと思います。
そもそも応用問題とは?
まずは、「そもそも応用問題とは何か」について整理していきたいと思います。
応用問題の多くはこの2つに分類することができます。
①基本の解法の組み合わせ
②原理や本質を理解した上で、その場で考えて解く問題
それぞれ具体的に考えてみましょう。
①基本の解法の組み合わせ
まずは、基本の解法の組み合わせでできている問題についてです。
例えば数学で考えると、
「整数の問題であるが、帰納法的なアプローチが必要」
「ベクトルと微積あるいは関数を組み合わせて解く」
といったように、複数の分野の解法を組み合わせて解く問題があります。
こういった問題は一見難しく見えるのですが、問われている事項のひとつひとつは基礎であることが多々あります。
応用問題には、このように基礎事項の組み合わせでできている問題が非常に多く、医学部受験でもよく出題されています。
②原理や本質を理解した上で、その場で考えて解く問題
次に、原理や本質を理解した上で、その場で考えて解く必要がある問題についてです。
これはいわゆる、初見問題や思考問題と言われているものです。
こういった問題が特に多いのは物理であり、難しくなると公式の丸暗記で勉強している人は全く手を出せなくなります。
物理の応用問題を解くためには、まずは基本的な現象を理解していることが重要です。
問題集に載っているような典型的な問題であれば、基本的な現象が分かっていなくても、「あの公式を使えば解ける」ということが瞬時にわかると思います。
一方、典型的でなく初めて見るような設定の問題の場合、どの公式・解法を使えばいいかをその場で考える必要があります。
その場合は、問題文に書いてある状況から「問題文ではこういうことが言えるのだな」と整理し、今まで知っている知識と結び付け、適応できる解法を考える必要があります。
数学でも同じことが言えます。
例えば、ベクトルの応用問題になると、問題文のどこにも「ベクトルを使う」と書かれていない問題もあります。
このような問題を解くためには、
・ベクトルとはどんな概念か
・解法を選ぶ上で何が大事か
・どういう処理すれば解けるのか
といったことをしっかり分かっておくことが必要です。
ベクトルの基本や本質をしっかり理解していて初めて、「これはベクトルを使えば解ける」と判断することが可能となります。
このような応用問題が解けない一番の理由は、「典型的な問題と見え方が違うから」です。
「見え方」は問題の作り方によって無限に生まれるので、過去問や模試で応用問題に出会った時、その解法を丸暗記して解けるようになっても全く意味はありません。
試験本番で全く同じ問題が出る可能性は低く、その問題が解けるようになっててもまた別の角度で聞かれたら手がでなくなってしまいます。
大事なことは、応用問題から何を学ぶかです。
解けなかった理由を考え、自分はどこで本質の理解が足りていなかったのかを見つける必要がありますが、突き詰めると基本に行きつくこととなります。
応用問題を解くためには基本の習得が大事
上記の通り、応用問題を解くためには結局基本が重要となります。
決して応用問題集に取り組んだからと言って、試験で応用問題がとけるようになるわけではありません。
1番ダメな勉強法は「応用問題集の丸暗記」
応用問題集を使って解法を丸暗記するというのは、非常に効率が悪く学習効果も期待できません。
まずは、基本をしっかりできるようにすることを心がけましょう。
特に注意しなければならないのは、基本ができていないのに応用問題集に入ることです。
基本ができていなければ、応用問題集の解説を見てもどのような意図で解いているのかを理解することはできません。
なぜその式変形をするのか、図をかくのか、といった背景が分からなければ単なる丸暗記となってしまい、他の問題を解くときに反映することはできません。
応用問題集を使う時は、基礎と結び付けながら取り組む
基礎がしっかりと習得できて初めて応用問題集に取り組むメリットが生まれます。
応用問題集を使う時、しっかりと基礎と結び付けながら進めることが重要となります。
「基礎問題は解けるのに応用問題になると解けない」といった場合は、どこかで本質の理解が不十分な可能性があります。
応用問題集を使うことで本質の理解の抜けをあぶりだし、基礎を高いレベルで固めていくイメージで使用すると良いでしょう。
こういう視点で整理すると解ける、この状況でこの解法を選ぶとこんなメリットがあるから解きやすいんだな、と解法の背景をつかみながら演習することで、本質の理解を深めることができます。
なぜ応用問題集なしで医学部に合格できるのか
最初に、「全教科基礎問題集のみで医学部に合格する卒業生が少なくない」と述べたのですが、その理由は大きく2つあります。
1つ目は模試や過去問演習で応用問題の演習が担保されている点、2つ目は本番の試験は時間との戦いである点です。
それぞれ詳しく説明していきます。
模試と過去問演習で応用問題に触れている
基礎問題集しか使っていない生徒も、模擬試験や大学の過去問を演習する中で、応用問題に触れる機会があります。
これらの解説を読んで基礎に結び付けることで、本質の理解を深めることができ、応用問題集の習得と似たような効果を得ることができます。
そもそも、応用問題集というのは多くは過去の入試問題で作られているため、過去問演習を複数の大学で演習する場合、応用問題集の習得とあまり差がなくなってきます。
もちろん時間的に余裕がある場合は、応用問題集を行った上で過去問演習を行えばよいのですが、時間に余裕のない方の場合は、応用問題集よりも過去問演習の優先度が上がります。
試験本番は時間との戦い
試験本番は家で問題を解くのとは全く異なります。
制限時間が厳しく、大学によっては全部の問題を解くことはそもそも不可能な場合もあります。
こういった状況では、「どの問題から優先的に解いていくか」といったことが重要であり、まずはみんなが解けるような基本的な問題で落とさないことが最優先となります。
大学によっては問題量が多すぎて、応用問題を解く実力があっても発揮する時間ないこともあります。
応用問題に目移りしてしまったせいで時間が足りなくなり、基本的な問題で焦ってミスしてしまい他の受験生に逆転されてしまうケースは少なくありません。
このように、入試は時間との戦いであることから、応用問題ではなく、基本的な問題でいかに取りこぼさないかが合否の分かれ目となることがあります。
まとめ
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