2021年の入試からセンター試験が廃止され、共通テストが導入されます。
これらの医学部受験への影響についてまとめていきます。
また、各大学が共通テストをどのように活用するかは明確に決まっておらず、情報が公開されるに従って当記事でも更新を行っていきます。
<解説動画>
共通テスト勉強法/医学部のボーダー、足切り情報
記述式問題・英語外部検定試験の導入は延期
数学1Aで記述式問題が出題←記述式問題の導入は延期、試験時間は延長
数学1Aの、数学1の分野において計算式を記述させる小問3問が出題されます。
記述式問題の導入見送りが発表されました(2020年4月更新)
この結果、数学1A、2B共にセンター試験と変わらずマークのみの試験形式となります。
ただし、試験時間に関しては、当初の発表通り数学1Aは70分、数学2Bは60分の予定です。(数学1Aはセンター試験から10分長くなる形となりますが、大問数はセンター試験と変わらない模様です。)
現代文で記述式問題が出題←記述式問題の導入は延期
共通テストでは、現代文において小問3問の記述式問題が出題されます。
記述式問題の導入見送りが発表されました(2020年4月更新)
これに伴い、当初試験時間が100分の予定でしたが、センター試験と同様80分に変更になりました。
英語外部検定試験の導入←外部検定試験の導入は延期
当初、英語外部試験(英検等)の導入が検討されていましたが、2019年11月に文部科学省が導入の延期を発表しました。(2020年4月更新)
具体的なセンター試験からの変更点は?
平成30年度試行調査をもとに、センター試験からの変更点を各教科ごとにまとめました。
詳細はこちらをご覧ください。
令和 3 年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等
英語リスニングの配点について
リスニングとリーディングの配点比は大学によって異なる
センター試験では、筆記が200点、リスニングが50点であったのが、共通テストではリーディング100点、リスニングが100点という配点に変更になりました。
リーディング・リスニングはどちらも100点ずつの配点ですが、大学によって調節可能であり、大学ごとに配点が異なります。
【医学部別】リーディング:リスニングの配点比まとめ
配点比4:1の医学部(従来と同様)→21大学
センター試験の配点比率(リーディング200点・リスニング50点)と同様の大学はこちらです。
印象としては、従来通り4:1の比率の大学が最も多いと言えます。
配点比3:1の医学部→13大学
配点比1:1の医学部(素点通り)→12大学
独自の配点比を設定している大学
福島県立医科大学
リーディング:リスニング比=3:2
東京大学
リーディング:リスニング比=7:3
三重大学
リーディング:リスニング比=2:1
愛媛大学医学部
リーディング:リスニング比=9:1
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英語:リーディング・リスニングともに問題形式が変化
試験時間はセンター試験から変更点なし
試験時間は、センター試験から変わらずリーディング80分、リスニング30分となります。
リスニングは配点が高くなったことに伴い問題数は増加しますが、問題文が1回しか放送されない問題も出題されるため(後述)、試験時間自体はセンター試験から変化しません。
問題数は、リーディングは減少、リスニングは増加
リーディング
センターでは54問(2019年度)であったのが、共通テストにおいては43問(平成30年度試行調査)に減少しました。
ただし、共通テストでは発音・アクセント問題や文法問題が出題されなくなるため、1問あたりにかけることのできる時間は大きく変化はしていないと予想されます。
大問数はセンター試験と変わらず6題の構成です。
リスニング
リスニングは配点の増加に伴い、問題数も増加しました。センター試験では25問(2019年度)であったのが、37問(平成30年度試行調査)に増加しました。
単純暗記では通用しなくなる問題が増加する?
発音アクセントや文法問題がなくなる
共通テストでは発音アクセントや文法問題がなくなり、全ての問題がポスターの読み取りや長文読解になります。
【センター試験】
大問1;発音アクセント
大問2;文法問題
大問3;会話文の空所補充、不要な文の選択、意見の要約
大問4;図やグラフを使った説明文、説明文の情報の読み取り
大問5;物語文の読解
大問6;説明文の読解
【共通テスト】
大問1;手紙や記事の読み取り
大問2;記事やサイトの読み取り
大問3;記事や説明文の読み取り
大問4;図やグラフを使った説明文の読み取り、二つの説明文の比較
大問5;説明文の読み取り
大問6;説明文の読み取り
また、総単語数がセンター試験と比べて1,000語程度増加するため、読むスピードも重視した試験となります。
長文問題では文章を解釈して解答する必要が
センター試験では、文中にほぼそのまま答えが記載されていることが多かったですが、共通テストでは文章を解釈して解答する問題が出題される可能性が高いです。
例:According to the story, Deborah’s feelings changed in the following order:
1 nervous→ confused →happy→ shocked→ sorry
2 nervous→ confused→ sorry→ shocked→ happy
…
さらに、センター試験においては長文の段落と問題が対応している問題が多くありましたが、共通テストにおいては文章を最後まで読まないと答えられない問題も存在する可能性があります。
解答方法にも変化が
センター試験においては、解答方法が「正しいものを1つ選べ」と選ぶ選択肢の数が指定されている問題のみが出題されていました。
しかし、共通テストにおいては”You may choose more than one option.”と言ったように、解答の数が指定されていない問題が出題されることが予想されます。
リスニングはセンター試験から大きく変化
共通テストでは、最も近い意味の選択肢を選んだり、対話を聞いて適切なものを選ぶと言ったように、センター試験でも見かけた内容の問題も出題されます。
ただし、センター試験においてはすべての問題文が2回流されていましたが、共通テストにおいては問題文が1回のみ放送される問題も出題されます。
また、「選択肢は2回以上使っても構わない」といったように、消去法では選ぶことのできない問題も出題される可能性があります(英語以外の科目においてもこのような形式の問題が出題される可能性もあります)
英語の対策に時間をとられすぎないことが大切
従来のセンター試験においても英語の対策に時間をとられすぎて、数学や理科などの他教科とのバランスが崩れてしまい医学部受験に失敗する受験生が多くいました。
共通テストの導入でリスニングの配点割合が大きくなったことで、さらに英語に時間をとられてしまい、バランスを失って失敗してしまう受験生が増えると予想されます。
しかし、医学部受験では教科が多いため、各教科のバランスをとることが大切です。
共通テストが導入されても各教科のバランスをとる重要性はまず変わらないと考えられます。
数学:数学①の試験時間が増加&初見の問題が出題される可能性も
配点はセンター試験から変更点なし
共通テストにおいても、センター試験と変わらず数学①・数学②ともに100点ずつの配点です。
試験時間は数学①のみ増加
数学①はセンター試験では60分だったのが共通テストでは70分に変更になります。
数学②はセンター試験から変わらず60分の試験時間です。
問題数は変化なし
数学①②ともに、センター試験と変更点はなく大問4題(必答問題2題、選択問題3題の中から2題選択)を解答します。
ちなみに、数学①はセンター試験から試験時間が10分間増加する形となりましたが、問題数はセンター試験と変わらない模様です。
初見の問題が増加する?
センター試験では、問題集に記載されている問題が多く出題されていましたが、共通テストでは始めて見るような状況設定の問題が出題されると予想されます。
例:数学②
次のようにして対数ものさし A を作る。
…
…
対数ものさし A において, 3の目盛りと 4の目盛りの間隔は, 1の目
盛りと 2の目盛りの間隔 (テ)。( テ)に当てはまるものを,次の
⓪〜 ② のうちから一つ選べ。
⓪ より大きい ① に等しい ② より小さい
このような問題は、単に問題集の問題を丸暗記をするだけでは通用せず、しっかりと本質の理解をする必要があります。
解答の数が指定されていない問題が出題される可能性も
英語と同様、共通テストにおいては「適切なものを次の⓪〜⑤のうちからすべて選べ」と言ったように、解答の数が指定されていない問題が出題される可能性があります。
理科:選択問題がなくなり、全問必答に
試験時間は理科全科目変更なし
化学・物理・生物全て、試験時間はセンターと同様60分間です。
選択問題がなくなり、全大問必答に
化学
センター試験では、大問6題(必答問題5題、選択問題2題の中から1題を選択)でしたが、共通テストでは大問5題(全大問必答)の構成になります。
物理
センター試験では、大問5題(必答問題4題、選択問題2題の中から1題を選択)でしたが、共通テストでは大問4題(全大問必答)の構成になります。
生物
センター試験では、大問6題(必答問題5題、選択問題2題の中から1題を選択)でしたが、共通テストでは大問5題(全大問必答)の構成になります。
思考系の問題が増加する可能性も
各科目で、センター試験よりも思考系の問題が多くなると予想されます。(大問数が減ったことからも予測可能)
センター試験では、単純暗記で対応できていた問題も、共通テストではある程度の段階を踏んで問題を解く必要がありそうです。
ただし、基本事項を問題集を用いて習得し(もちろん丸暗記はNG)、記述模試や過去問演習を行なっていれば、十分対応可能だと考えられます。
国語:大幅な変更はみられず
配点・時間配分は変更点なし
センター試験と変わらず、配点200点で80分間の試験となります。
大問数・問題内容は不明な点が多い状況
当初、国語はマーク式と記述式の問題が出題されると公表されていました。ところが、2020年1月29日に国語の記述式問題の導入見送りが発表されました。
国語の問題構成自体はセンター試験と変化なく、評論文、小説、古文、漢文の大問4つの構成となります。
社会:大幅な変更は見られず
試験時間、配点はセンター試験から変更点はありません。
試行調査を見てみると、小問数の多少の減少や思考系の問題がやや増加しているように見受けられましたが、他の科目と比べると大きな変動はない印象です。
医学部受験生はどのように対応すべきか
振り回されると失敗する
従来のセンター試験では、「知識・技能」を問う問題が中心でしたが、共通テストでは「思考力・判断力・表現力」をより評価できるような出題形式へと変わります。
具体的には、始めて見るような状況設定の問題や、消去法では選べないような問題が出題されることが予想されます。
しかし、「思考力・判断力・表現力」を身に着けるためには、結局は基礎の習得や科目間のバランスが重要になります。
むしろ、共通テストに振り回されすぎると、英数理の科目間のバランスを失ったり、基礎の習得が疎かになり、医学部に合格できる可能性が下がってしまいます。
初見問題対策に時間を取られすぎた結果、基礎的な問題で失点してしまっては本末転倒なので注意しましょう。
リスニング対策について
上記の通り、大学によって配点はバラバラですが、従来通りの配点の大学が現時点では最も多くなっています。
過度に心配せず、従来と同様に対策するのが良いでしょう。
ただし、音声が1度しか読まれない問題もあるということから、過去問演習をする時は、音声を1度だけ聞いて内容を把握する練習をするのがおすすめです。
一方、リーディング・リスニング配点比が1:1と、リスニングの割合が高い大学もあります。
そのような大学を受験することが決まっている場合は、リスニング対策は早めに始めておきましょう。
センター試験の過去問について
出題形式が変更されるとはいえ、普遍的に重要な事項は変わりません。基礎力の確認にはセンター試験の過去問を使用しましょう。
ただしやりすぎても意味はないので、演習回数は模試を入れて年間4-5回で十分と言えます。
出題内容などは今後変わる可能性がある
これまで、共通テストに関する情報はたびたび変更されてきました。出題内容などは、今後も変わる可能性があるので注意しましょう。
新たな情報が入り次第、当サイトの情報も随時更新しています。
医学部に1年で合格する勉強法
共通テストが導入されても、医学部合格のためには科目間のバランスをとって勉強していくことが最も大切です。
医学部受験の勉強法の詳細については下記をご覧ください。